

唐津に到着しました。さっそく改札向かいのえきマチ1丁目に入っている伊藤けえらんできっぷを提示し、“けえらん”というお菓子を2個貰います。きっぷ提示だけでOKとはなかなかの大盤振る舞いですね(さすがに10月以降はなくなったみたい(?))。他に何も買わずに頂くのは少々気が引けましたが、行きたい施設の閉館時刻が迫っているのでとりあえずそちらへ向かうことにしました。あとで駅には戻ってきますし、買い物はその時でもいいかなと。
さて、けえらんを抱えてやってきたのは旧高取邸。肥前の炭鉱王・高取伊好の邸宅で、和洋折衷の近代和風建築が状態よく保存されています。前にも訪れたことがあるのですが、めちゃくちゃいいスポットだったという印象しか残っていなかったので再訪を決めました。
前回訪問時の写真がないなと不思議に思っていたのですが、それもそのはず。建物内は撮影禁止でした。どおりで具体的な記憶がないわけです(目に焼き付けろ)。
さらに普段はガイドさんが同行してくれるのですが、感染症対策で中止になっているよう。残念だなと思っていると、大広間棟に入ったところでどこからともなくガイドさんが現れ、説明を始めました。いいのかな?とは思いつつも、やっぱりガイドは欲しいのでついていきます。
ちなみに、大広間は畳を引っぺがすと能舞台に早変わり。橋掛かり(演者が出入りする通路)や地謡座もきちんと用意されている上に、音が響きやすいよう本舞台の下には半球状の空洞を設けているこだわりようです。しかも座敷に仕組まれた能舞台はここが唯一の現存例なのだとか。
久しぶりの旧高取邸を満喫したら、裏手の浜に出て先ほど貰った“けえらん”をいただきます。うるち米で作った平べったいお餅をあんこに巻いたもので(いうなればあんまきの餅バージョン…?)、言うまでもなく絶品でした。こんな素敵なものをタダで頂いてよかったものか…。
ちょうど九州郵船の“エメラルドからつ”が入港してきました。唐津と壱岐の印通寺を結んでおり、壱岐から長崎への最短ルートだそうです。
通り雨をバスに乗ってやり過ごし、こんどは旧唐津銀行へ。こちらの建物はなんと東京駅の設計で知られる辰野金吾が監修(実際の設計は弟子の田中実が担当)しています。
中はシックな雰囲気。当時使われていた金庫なんかも置いてあります。
銀行を出たところで松露饅頭のお店を見つけましたが、ここでは買い求めません。えきマチ1丁目の店舗で買えば松露饅頭1個プレゼントなのです。
ということで駅に戻ってくると、なんと伊藤けえらんを始め、ほとんどのお店が閉まっていました。幸いにも松露饅頭のお店は開いていたのでお土産用の松露饅頭に加えてプリンを購入しましたが、他のお店も覗いてみたかった…。
失意のままホームに上がると、103系1500番台が停まっていました。かつては福岡空港にも乗り入れ、まさに筑肥線の顔でしたが、いつの間にか末端の筑前前原~西唐津に3両編成が走るのみに。世代交代は寂しさも感じますが、末端に行けば今でも乗れるのはかなり恵まれています。
松浦川を渡るところで、夕日に照らされる唐津の町が目に飛び込んできました。窓枠がいい額縁になって美しさを際立たせています。筑肥線は浜崎から筑前深江にかけて海沿いを走るのですが、窓枠はそこでもいい仕事をしていました。
筑前前原で乗り継ぎ、福岡空港に到着。旅もいよいよ終わりです。

コメント