平成に誕生し普及したもの ‐交通系ICカード‐

今回のテーマは平成ということで、平成に消えたものを書くメンバーとの差別化も図って、平成に誕生し、普及したもの、「交通系ICカード」にの歴史について書こうと思う。

平成以前より各交通機関では磁気を利用した乗車カードが用いられていた。旧国鉄の「オレンジカード」などがこれにあたる。しかしそのほとんどは買い切りのプリペイドカードであり、一定金額を買い、その分だけ使える使い捨てのカードであった。

 

見ての通りオレンジカード Wikipediaより

交通機関にICカードが利用されるようになったのは1992年。フィンランド・オウル市のバス会社が「バスカード」として導入したものが世界初であり、1997年に香港の公共交通機関に「八達通(オクトパス)」が導入されると世界的に交通系ICカードは普及していった。同年10月には静岡県磐田郡豊田町(現・磐田市)で「ユーバスカード」(密着式)が導入され、これを皮切りとして日本でも各地で交通系ICカードの普及が進み、特に2001年に利用開始した「Suica」はソニーの非接触式ICカード技術「FeliCa」を採用し、日本初の”非接触型”交通系ICカードとして日本のICカードの普及に大きな影響を及ぼした。

ICカードが日本全国に普及したのはいいのだが、また別の問題もあった。各社局がカードを導入するにあたって、上記のFelicaのシステムを採用しつつも社局ごとにそれぞれ独自のICカードを導入していたため、規格が乱立し、互換性がない状態が続いていた。そんな中、2006年に近畿圏でのJRの「ICOCA」と民鉄の「PiTaPa」が相互利用を開始し、翌年の首都圏ではSuicaとの完全互換性を前提としてPASMOが導入、2008年には本州JR三社での相互利用が可能になるなど、同一のエリアやJR同士などでの相互利用化が進められていった。そして2010年と翌11年、その流れを進めるように交通系ICカードを発行するJR5社と福岡市交通局、PASMOとPiTaPaの参加事業者の協議会組織(PASMO協議会・スルッとKANSAI協議会)、「nimoca」の発行元の親会社である西日本鉄道、交通系ICカード「manaca」を導入予定の名古屋市交通局と名古屋鉄道の11社局連名で交通系ICカード10種の相互利用サービスの検討を開始したことを発表、2013年3月からサービスが開始され、現在の快適な交通ライフにつながっている。

しかし、平成が終わった現在も、地方の、特にバスにおいては交通系ICカードに対応していない場合が多く、まだまだ地方交通のキャッシュレス化には時間がかかりそうである。

参戦決定したコミケの碌でもない計画を練りつつ、今回はこんなところで筆を置こうと思ったが、せっかくなので余談を。

 

余談 のんびりホリデーSuicaパス

今年9月から来年3月まで、基本的に「休日おでかけパス」の区間を継ぐ形でのSuica用フリーパス「のんびりホリデーSuicaパス」が発売されることが発表された。その他に「都区内パス」等もIC用の発売が開始されたが、特にのんびりホリデーSuicaパスに関しては興味深いところがあった。休日おでかけパスの区間内にあるIC未対応区間はどうなるのかというところである。具体的に言えば新幹線の自動改札と、小坪井探索のアクセスにも使える久留里線なのだが、実際どうなっているのだろうか。

一番最初に”基本的に”と書いている時点で分かってしまうだろうが、結論は”フリーエリア外になっている”である。当然といえば当然の結論なのだが、なんか寂しい。その代わりといってはなんだが、休日おでかけパスが2670円なのに対しのんびりホリデーSuicaパスは2620円と50円だけ安くなっている。JR東日本の紹介PDFのフリーエリアもこれにともなって地味に変化していて面白い。

休日おでかけパス JR東日本公式HPより

 

のんびりホリデーSuicaパス JR東日本ニュースより

参考文献

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

・「交通系ICカード全国利用サービス」

・「乗車カード」

・「ICカード」の項

「おトクなきっぷが Suica でご利用いただけます! – JR東日本」

「休日おでかけパス – おトクなきっぷ:JR東日本」

アイキャッチ画像はJR東日本公式HPより

 

 

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