風を待つ

元号が平成から令和に代わり、消費税も増税するなど変化の年であった2019年。私個人としてもサークルに加盟させていただいたり、個人サイトを移転したり、コミケで本を出させていただいたり、といろいろ新しいことに挑戦しました(なかにはシェアサイクルののりすけさんから自発フォローされるなんて事件も…汗)。

今回はそんな2019年に運航を開始したとある航路を紹介します。



美ら海水族館最寄りの記念公園前からバスに揺られることしばし、谷茶のバス停で下車しました。一本奥に入れば鄙びた雰囲気の味わえるいい港町なのですが、実はこの時点でチケット販売終了まで残り3分。ダッシュで売り場に駆け込みます。


待合所の一番奥のプレハブブースでなんとかチケットを確保。それにしても待合所は外観も中も水納島一色ですね…。ここに来る人はみんな島が目当てなんだろうなぁ。


ターミナル直結の桟橋は水納島行きが占領しているので、すこし離れたもうひとつの桟橋へ。およそこの航路のためとは思えない古めかしさですが、以前にもなにか使っていたのでしょうか?

ということで今回乗船するのは第一マリンサービスの海からぐるっとExpressです。沖縄北部へのアクセス向上のため、2019年4月13日から運航を開始しました。夏期に那覇~北谷~恩納~本部2往復と那覇~北谷の区間便が1往復設定されています。

乗船する際にチケットを回収されました。記念に持ち帰れたらよかったのですが…。

1999年、三保造船建造。さすがに新造ではないようですがこうなると中古元が気になるところ…。

薄っぺらい座席。


シートポケットには沿線の観光パンフレットがいろいろと。

16:18 本部(渡久地)発。そこそこ乗っているなと思ったらほとんどはスタッフで、乗客は2人だけでした。


本部大橋をくぐります。


港を出るともう外洋。台風接近のおかげもあってか波が荒いです。


と、前方でなにやらプロモーションビデオがはじまりました。


万座毛や残波岬といった景勝地では観光のため小休止するよう。楽しみです。


瀬底大橋をくぐります。海峡に入り海は束の間の落ち着きを見せました。


海峡を抜けると島影からふいに船が。


昨晩鹿児島を出航し那覇へと向かっているフェリーあけぼのです。本部港に寄港するためぐるりと旋回していきます。


前方でゴソゴソやっていると思ったらスタッフさんが船の現在地を表示させていました。スマホの画面を映し出しているだけなのがローカル感満載で推せます。



乗船前のドタバタもありうつらうつらしているといつのまにやら北谷に。確証は持てませんが万座毛も残波岬もスルーしたようです。潮位の関係で恩納が抜港になったのはともかく観光もできないとは…。

17:36 北谷(フィッシャリーナ)着。となりには僚船のTAKUMA1がいました。現ダイヤでは全便TAKUMA2での運航なのですが、こちらのTAKUMA1は昨年おこなった実証実験の際に運用入りしていたものと思われます。なお、第一マリンサービスでは今後那覇~本部の直行便も運航する構想があるようで、そうなればTAKUMA1もふたたび使用されることでしょう。

…ところで、恩納を抜港したことによって当船は25分ほど北谷に早着しています。このため、もとより15分設けられている停船時間はなんと40分近くに。途中下船の扱いもないのでひたすら待ちぼうけです。


船員さんに声をかけると上がらせてもらえるトップデッキ。景勝地を眺めるにはベストですが、停泊中はいっそう退屈さが増しそうです。


前方の客室は一段下がったところにあります。窓には潮がびっちゃり着いていました。


前方にあるトイレは増設されているようです。

ひととおり見回ってもなお時間があり余るので船員さんと軽く談笑。「いつもこんな感じなんですか?」との問いには「今日は台風が近づいてきてるからね」と返されました。乗客数のことを聞いたつもりでしたが、海況・乗り心地のことだと思われたようです。

チケットの発売は出航15分前に終了しているゆえか、5分ほど早く出航となりました


なんとなく前方席に移動してみました。サンセットが拝めると良いのですが…。


かなり遠くではありますがフェリーあけぼのの姿が見えました。北谷でバカ停しているあいだに迫られたようです。


窓に付いた潮のおかげで全然写真が撮れません!失敗しました!(笑)
とはいえ願わくは日が沈む瞬間を見てみたいところ。時期もミスってしまったようです。


JTAのジンベイジェットが見えました。いよいよ那覇です。


那覇港の門番、屋良座森グスクの横を通過。戦前には料亭が営業していましたが、現在では米軍敷地内となり立ち入ることはできないようです。写真ではよく見えませんが、料亭から船着き場に下りてくる階段もきちんと見えました。

18:40 那覇着。最終的に定刻での到着となりました。


風が強い…!


乗船してみてとかく退屈だなという印象を受けました。万座毛や残波岬の観光がなくなったのは仕方ないにしても、北谷で40分も待ちぼうけを食らうのは御免です。発車時刻を守らねばならないので当然の措置なのですが、ならば寄港そのものが望ましくないと考えます。今回は状況が状況でしたが、それとていったい何人の方が恩納や北谷で乗下船しているのでしょうか。というか恩納に至っては何日寄港できたのでしょうか(サイトを見るたびに潮位のため抜港となっていた覚えがあります)。
もっとも、昨年の実験で寄港便と直航便両方を試してみての運航開始ですから寄港便にしたことにはそれなりに意味があるはずですが、乗船した限りではその意味は見えてきませんでした。

また、所要時間がかかりすぎて直航できるという船のメリットを全く活かせていないのではと思います。本部~那覇は定刻で2時間20分、実際には2時間22分かかりました。これが高速バスの117番なら本部港~那覇バスターミナルでわずか1時間50分です。運賃もバス2340円に対して船は2500円しますからデフォルトの状態では完敗なのです。第一マリンサービスとしては渋滞知らずであることを強調していますが、何も知らない方は利用しようと思わないでしょう。これがたとえば元から所要時間が有利であればとりあえずこちらを使ってみようかという方も現れるのでしょうが。

さらにこれはある程度仕方ないこととはいえ、本部港へのアクセスがさしてよくありません。発着地渡久地港というのは水納島に行くならいいのですが、本部エリアを訪れる方の多くはやはり美ら海水族館に向かうでしょう。たしかに冒頭ですこし触れましたが、美ら海擁する海洋博公園から渡久地港近くまでは路線バスが出ています。しかしこれは船との接続がどうにも悪く、多少遅れが出ればチケットを買えなくなってしまうシロモノです。
ここは海洋博開催時に運航されていたホバークラフトよろしく海洋博公園まで直航することを望みます。当時発着していた地点も実は水族館からはけっこう離れているのですが、それでも渡久地よりはマシでしょう。公園の遊覧バスもあります。
また、伊江島へ行く観光客のことを考えれば本部(新)港に寄港するのも手でしょう那覇から本部まで直航する代わりに本部エリアでは本部新港、渡久地港、海洋博公園と丹念に寄港していく。本部エリア相互での利用を認めないでおけば出航時刻になっていないので出航できない、なんてこともなくなります。
そこまでは無理にしてもせっかくバス事業者と船会社が同系列(琉球バス交通・那覇バスと第一マリンサービスはいずれも第一交通産業グループ)なのですから、運賃面での連携くらいは期待したいところ。たとえば沖縄の路線バス全線に乗車できる沖縄路線バス周遊パスを持っていれば乗船できる、そうでなくとも運賃が割引になるとか。

さんざん言ってきましたが、那覇~沖縄北部を結ぶ航路の開設は願ってやまなかったこと。第一マリンサービスによると那覇~本部航路は2020年4月から生まれ変わるのだそうですから、どのような変貌を遂げるのか楽しみです。

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