3年に一度、海は沸き立つ。

海の復権を目的に2010年より3年に1度開催されてきた瀬戸内国際芸術祭。この“瀬戸芸”の会期中は近隣船社が予備船をフル稼働させて各航路の増便、さらには臨時航路の開設と、周遊客輸送に励んでいます。

瀬戸内国際芸術祭2019会期中の航路は東部地区だけで以下の通り。


(※ルートはイメージです。図の通りとは限りません。)
・高松~直島(宮浦)
・宇野~直島(宮浦)
・宇野~直島(本村)
・直島(宮浦)~豊島(家浦)~犬島
・高松~直島(本村)~豊島(家浦)
・高松~豊島(唐櫃)
・宇野~豊島(家浦)~豊島(唐櫃)~小豆島(土庄)
・高松~女木島~男木島
・高松~小豆島(土庄)
・高松~小豆島(池田)
・高松~小豆島(草壁)
・小豆島(土庄)~直島(宮浦)
・高松~小豆島(坂手)~小豆島(土庄東)~直島(本村)~男木島~大島
・高松~大島
・高松~宇野
・宝伝~犬島
・小豆島(土庄)~犬島
・牛窓~犬島~岡山(京橋)
・神戸~小豆島(坂手)~高松東/神戸~高松東
・姫路~小豆島(福田)
・日生~小豆島(大部)
・新岡山~小豆島(土庄)

色被り発生しすぎて大変でした…。もっとも、このあたりは会期中でなくとも航路多いのですが…(下図参照)

(※ルートはイメージです。図の通りとは限りません。)

どれが臨時航路なのかわからない!という方も多そうですので、会期中のみ設定されている臨時航路をまとめてみます。

①小豆島(土庄)~直島(宮浦)
非架橋の島としては瀬戸内海最大の人口を有する小豆島と、草間彌生の「赤かぼちゃ」など現代アートの聖地となっている直島を結ぶ航路。お世話になる方も多いのではないでしょうか。


有名な赤かぼちゃは宮浦港にあります

②高松~大島
ハンセン病療養所が設けられた大島。現在でも後遺症を抱える方々が暮らしています。当航路は職員の通勤などを目的に運航されているのを会期中に限り開放したもの。当初は認可を受けずに旅客を乗せていたようで(通常は職員くらいしか乗らないので自家用船扱い)、第3回では運輸局からお咎めを受けて代船をチャーターしていたとか。第4回となる今回からはきちんと一般定期旅客航路の認可を受けたので正々堂々官有船に乗れます。

③高松~小豆島(坂手)~小豆島(土庄東)~直島(本村)~男木島~大島
起終点は②と同じですが、注目すべきはその寄港地。4か所もあるだけでなく、所在地がてんでバラバラ。地図に落としてみるととぐろのようです。
というのもこの航路、性格の異なる3つの航路を繋ぎ合わせたもの。小豆島東部へのアクセスを担う高松~坂手、神戸からジャンボフェリーでやってきた客を小豆島の中心部そして直島へと運ぶ坂手~土庄東~本村、さらに、近いけれどアクセスの悪い本村~男木島~大島、とそれぞれの区間で目的が違うのです。それは運賃体系が原則として各港間1000円、港を跨いで乗船する際は各区間ごとの運賃の合算となるところからもうかがえます。
ちなみに土庄はメインだが湾奥となる土庄港ではなくアクセスのしやすい土庄東港への寄港となっていますが、それが仇となったのか先の台風の影響で土庄東港の設備が破損。現在坂手~本村間は直航となっているようです。坂手から土庄へ向かわれる際はバスまたはシェアサイクルをご利用ください。

④小豆島(土庄)~犬島
10年だけ稼働した精錬所があったことで知られる犬島。ベネッセアートサイト直島の舞台の一つであり、瀬戸芸には欠かせません。

⑤牛窓~犬島~岡山(京橋)
今回からの新航路。瀬戸芸の会場としては唯一岡山県に属する本島、にもかかわらず(?)本州側からのアクセスは西大寺からバスで40分ほどかかる宝伝港から個人運航の船が出ているだけというお世辞にも良い状況ではありませんでした。


宝伝~犬島を結ぶ第七あけぼの丸

そこで誕生したのが当航路。日本のエーゲ海と自称する牛窓、さらには岡山と犬島を一直線に結びます。しかも、岡山側の発着場はフェリーが行き来する新岡山港ではなく、そこから旭川を7㎞以上遡った京橋。まさに市街地ど真ん中まで直航するのです。

旭川をゆくTHE ISLAND SEA SETOUCHI

当航路は会期外の土日祝日にも臨時運航され、地元の方らしき御仁の利用も見られるなど好調のよう。直島(宮浦)~豊島(家浦)~犬島の航路のように定期化してほしいものです。


直島~豊島~犬島航路も元は瀬戸芸開催に際し生まれた臨時航路でした。


瀬戸芸によってより一層輝きを増す東瀬戸内の船たち。夏会期は25日で終わってしまいますが、秋会期もありますので是非一度訪ねてみてください。ちなみに秋会期ではイリコで知られる伊吹島など西部地域の島々も会場となりますのでそちらもぜひ。
もちろん、会期外でも各航路色とりどりなのは言うまでもありません。高松港でぼーっと眺めているだけでも十分楽しめるかと思います。

「なおしま」と入れ替わりで高松港に入港する「しょうどしま丸」

[参照]
瀬戸内国際芸術祭2019 https://setouchi-artfest.jp
SeaRoad http://blog.livedoor.jp/vessel_space/
各船社公式サイトほか

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